Juice＝Juice、金澤朋子卒業へ向けての流れすら完璧に組み立てた Concert2021～FAMILIA～金澤朋子ファイナル

金澤朋子「必ず皆さんの前に帰ってきます」

わたくし、今般の横アリが金澤さんの卒業公演となってしまったのは、事務所としても半ばアクシデントであったと思っております。金澤さんが持病でしばらくお休みするとアナウンスされた際も、最初は数週間程度で復帰する見込みだったはずなので、ファン以上に、金澤さん当人や事務所こそ医師の診断に驚いたんじゃないかと思っております。

きっと横アリは、それ以前からブッキングされていて、そこではハロプロのステージ技術の粋を披露すべく、その大きなステージに Juice=Juice が登壇することは既定路線だったのではないかと見ています。上に述べてきたように、ほんとに今の Juice=Juice は仕上がっていますからね。2021年はハロプロ全体をシャッフルするかのようなライブツアーを継続してきて、その晩秋から初冬にかけて、隠し玉のようなグループ単独公演を連続させる中で、この今の Juice=Juice のステージを思いっきりブツけるステージを大きな箱で準備するってのは、金澤さんの卒業が決まる前から企画されていたことだっただろうと。

そんなステージが、おそらくは急遽、卒業コンサートとして組み替えねばならなくなった…　ええ、えらいことで、スタッフさんたちもメンバーも、大慌てだったんじゃないかなと、わたくし、勝手に想像している次第なんですけれども、でも、だからこそ、今般のステージが、ラストの卒業セレモニーへ向けて、上手に組み立てられていたことに、ほんとうに感心しているのです。

本編ラストの『Goal～明日はあっちだよ～』も、アンコール以降の『続いていくSTORY』も、『未来へ、さあ走り出せ！』も、おあつらえ向きに設えたような楽曲が準備されていたこともそうなら、金澤さんはオリジナルの楽曲（『あなたを想う帰り道』）を披露してくれますが、そのアコースティック風のイントロもまた実に相応しくて「何？ Juice=Juice って、何年も前からこの日のあることを知って準備してたの？」って思うくらい。

金澤朋子(Juice=Juice)「あなたを想う帰り道」本日11/24(水)24時配信スタート！

公式サイト　ニュース詳細　金澤朋子(Juice=Juice)「あなたを想う帰り道」本日11/24(水)24時配信スタート！

実に見事だったと言えば、メモも何もなく、あれほどの長文をよどみなく朗じてみせた金澤さんのご挨拶も見事でした。横アリでの伝説的ご挨拶といえば、ファンを「変な人たち」とした2014年の道重さゆみさんのご挨拶が思い浮かびますが、なんでしょうね、横アリでのスピーチは必ずハロプロの歴史に残ることが、これまた定められているんでしょうか。すばらしかった。

おそらくは本意でない卒業ということもあってでしょうが、しかし、「必ず皆さんの前に帰ってきます」というスピーチは、やっぱり多くのファンの心に刺さったことかと。

*****

上に、あたかも “この日のあることを知って設えたかのよう” とも述べた今般の横アリのステージですが、金澤さんにとってはサプライズであったはずの（植村さん発言による）メンバーから金澤さんへ向けたメッセージも、個々のメンバーこそ泣いちゃって何を言ってるかわからない者までいたっていうのに、金澤さん本人は（多くの後輩メンバーが、まさにそのメッセージで告げていた通り）ニコニコと後輩たちを見ているばかりで、むしろ泣いちゃってる後輩を励ますようなところも見せて、なるほど、ファンの見えないバックステージにあっても、金澤朋子という人は、こういうリーダーであったのだなと納得の場面だったりします（よね？）。

このこと（「金澤朋子という人は、こういうリーダーであったのだなと納得」）を噛みしめたいのは、ほんとにいろいろあったからね。やっぱり覚えてるんですよ。

当サイトでも、Juice=Juice の技の冴えは ℃-ute を継ぐものだ的なことは、いくつかの記事で文章にしてきましたが。今回卒業する金澤朋子さんは、ハロプロに加入してくる前は、その℃-ute の熱心なファンであったことが知られています。そのことで、いろいろと取り沙汰されたこともあったことは、私たちファンだけでなく、おそらく本人も自覚していたことかと思います。
加入当初は “暴君” とも言われましたが、そんな金澤さんはしかし、初期の頃のDVDマガジンでは（千葉県の道の駅にロケに出た企画で）加入当初は苦手な食べ物すら正直に申告できなかったことを告白しています。
そして過酷なライブハウスツアーを経て初めての武道館を踏もうかといった辺りで、今回にも通じる体調不良が発覚したり…

いろんなことがあって、今般、卒業を迎えた金澤さんは、涙しながら伝えてくれる後輩メンバーたちからの自分に向けてのメッセージを、ニコニコとほほ笑みながら受け止めています。

というわけで、メンバーたちの金澤さんへのメッセージはこちら（↓）

なんかね、先日のつばきファクトリーの武道館で、これでこの先のハロプロも大丈夫だとか思っちゃったりして、さらにはアンジュルムの武道館公演でも、揺るぎないアンジュルムが確認できて、むしろ笠原桃奈さんも安心して卒業できるのでは…みたいなことまで思ったんですけど、今般の Juice=Juice の横アリもまた、金澤さんの卒業にも関わらず、いや、むしろ金澤さんの卒業を介してこそ、なんだか盤石の安定感を感じた次第です。

Juice=Juice のステージの圧巻さも。そんな Juice=Juice をまとめていたリーダーが、卒業にあたって、しかし涙よりも笑顔をファンに示してくれたことも。

そうした「盤石の安定感」を感じたならば、そこから振り返って、金澤さんの卒業をアナウンスした公式のお知らせに、こんなフレーズが明記されていたことの意味も新たになろうというものですね。

2013年にJuice=Juiceの結成メンバーとして活動をスタートして以来、常に全力で活動してくれました。

公式サイト　ニュース詳細　​Juice=Juice 金澤朋子の卒業に関するお知らせ

さいごに　工藤由愛さんと松永里愛さんのこと

以上をもって、2021年11月24日の横浜アリーナのステージについては終わって良いと思いつつ、上に言及した“盤石の安定感”について少々補足を。

ライブ中盤のダンスパフォーマンスでは段原さん稲場さんに追従してまったく遜色ない工藤由愛さんに驚いた次第です。その歌唱の冴えについて何度か触れてきた松永里愛さんも含め、現在の新メンバーが加入するまで、つい先日まで “新メンバー” だった２人が、お姉さまたちと伍して、堂々と『私が言う前に抱きしめなきゃね』から『Fiesta! Fiesta!』まで、当たり前のように参加して、しかも、まったく乱れを見せないのは、ほんとうに素晴らしいと思います。ほんとうに、ユニットとしての Juice=Juice としての形が出来上がっているかと、繰り返し。

松永さん、金澤さんに懐いてる様子も愛犬のようで、その意味で、どこか（同じ出身地ってこともあってか）植村さんにも印象が重なるところがありますが（きっと数年後、植村さんも驚く超美人さんに成長すると確信中）、卒業する金澤さんへ向けたメッセージすら（「また連絡しますね」）、やっぱり飄々とした大物感があって、さらには今後も金澤さんとの関係が続くことを信じて疑っていないところ（「また一杯帰ってきてくださいね」）なども、どこか軽々とした印象を残したのは、かえって凄いと思いました。

このところ慌てる様子も目立つ工藤さん（ソロフェスで準備していたタコのぬいぐるみを、同じ時間帯で出演を控える｛他のグループの｝先輩メンバーたちに勝手に持ってかれていて、自分がステージに登壇する直前に、大慌てで一生懸命に回収していたのは、ほんとに愛らしかったですよね）、ダンスパフォーマンスに抜擢されたように肢体運用のストロークの大きさも顕著で、次の世代の Juice=Juice のパフォーマンスを牽引することでしょう。実は横アリで、いろいろと “やらかしていた” らしきことは、ライブ後、本人の告白の形で明らかにされましたが、そんなこと（内心の動揺など）全然わからないくらい、ちゃんとステージを進行させていたことも含めて。

その上で、段原、稲場、井上といった（金澤さんもセレモニーで述べたように）それまでの来歴の中で、しっかりハロプロのメンバーとして仕上がってから Juice=Juice に参加して来た中堅メンバーとは違って、工藤由愛さんと松永里愛さんの “同期” としての在り方も鮮明に見えるようになってきました。繰り返し、金澤さんもセレモニーで述べてましたけど、このところ、それぞれの SNS や、ハローラジオへのゲスト出演時でも盛んに自ら証言していますけども、松永さんも工藤さんも、加入当初、めっちゃ喧嘩しまくっていたみたいですね。だからこそ、今、お互いに、一番に仲が良いのだとか。
こう書いていて、今、自分が泣きそうなことに自分で驚いておりますが。

わたしのような「おじさん」ファンにとって、つい先日加入してきたような現役メンバーから見てすら、すでに数世代若い昨今の新しいメンバーたちが、しっかりハロプロを継承している様子をしっかりと目撃して…　なんか、金澤さんが戻ってくるまで、ハロプロも、Juice=Juice も、超大丈夫だって思えませんか。

*****

先日のアンジュルムの武道館公演でも、なんか川名凜さん、為永幸音さん、松本わかなさんについて、似たようなことを思ったりしたんだけど、こうまで重なると、それってファン側が勝手に感じてるんじゃなくて、はっきりとハロプロの育成と継承の勝利だと思えます。

この横アリの金澤さんのセレモニーが、卒業そのものよりも、卒業を介して “残していく” ことが強調されるようなステージが印象深かったように。それもどこか、金澤さんのリーダーとしての在り方によってこそ、そんな印象が強いように思ったりします。上で言及した、ライブ途中のメンバー入れ替わりパートで金澤さんがずっとステージに居続けた場面のように。

…　そんな風に、しんみり遠い目をするよりは明るい展望が描けるのも、金澤さんについては、その理由も明らかです。ご本人が、戻ってくると力強く言ってくれているどころか、卒業後も余裕でSNSを更新してくれてますからね。

そういえば卒業後、
エクステを外すついでに
髪を切ってきました〜〜✂️

インスタグラム　金澤朋子オフィシャル　tomoko_kanazawa.official

（文＝kogonil）